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岸和田だんじり祭

勇壮かつ豪快と全国的に有名な祭りです。地区内から34台の重さ4トンにもなるだんじり(地車)が出され、市内を駆け巡ります。最大の見どころは角を勢いよく走りながら直角に曲がる「やりまわし」で、そのスピードと迫力は圧巻です。


岸和田だんじり祭のトップ画像

岸和田だんじり祭の歴史

ねじり鉢巻とハッピ姿の勇壮な男衆に囲まれ、交差点に向かって怒涛のように迫りくる地車(だんじり)。加速した重さ4トンの地車が豪快に直角のコーナーを曲がる度に湧く、観衆からの大歓声。この「岸和田だんじり」は、大阪府岸和田市の岸和田地区にある岸城神社(きしきじんじゃ)と岸和田天満宮、春木地区にある「弥栄神社」の例祭で、毎年9月の敬老の日(第3月曜日)直前の土曜日(宵宮)と日曜日(本宮)に行われます。

「だんじり祭り」の起源は、元禄16年(1703年)に岸和田藩主だった岡部長泰(おかべながやす)が、京都伏見稲荷大社を岸和田城内三の丸に勧請し、五穀豊穣を祈願して行った「稲荷祭」に由来するという説が有力と言われます。他に、延享2年(1745年)に北町の茶屋新右衛門が、今の岸城神社の夏祭りに献灯提灯を揚げたのが始まりという説もあります。

今日では「だんじり祭」は近畿各地で行われていますが、南海本線岸和田駅と春木駅周辺で開かれる「岸和田だんじり祭」は、そのスピードと迫力の「やりまわし」で最も有名です。「だんじり」の特徴である「やりまわし」とは、勢いよく走る地車が速度を落とす事なく曲がり角で直角に向きを変えるという技です。その荒々しいイメージから「喧嘩祭り」に分類されることもあります。祭りの2日間、城下町を曳行される各町の地車は、曲がり角に来る度「やりまわし」を繰り返します。この時、皆の心はひとつになります。「だんじりの町」で生まれ育った男達が、「だんじり祭」を通して結束し、度胸と熱い心意気を見せる場「岸和田だんじり」。そんな命がけの男達に魅せられて、ここ大阪南部の城下町に毎年多くの観光客が集まります。


岸和田だんじり祭の見どころ

「だんじり」と言うと、その迫力の曳き方に目が行ってしまいますが、祭りで注目して欲しいのは地車の「造り」「曳き手」「曳き回し」の3点です。

まず1点目の「造り」ですが、地車は構造や型、製造された歴史的背景などで分類されます。この祭りでは車高が低く、囲いの木枠もない「岸和田型(下だんじり)」の地車が使用されています。全国の山車・鉾・屋台は色鮮やかに飾付けられるのに対し、岸和田型の地車は彫刻を主とした立体的な装飾が特徴的で、各町の自慢となっています。欅(けやき)の木目を活かし匠達によって施された繊細な彫刻は、一見の価値があります。その芸術的なモチーフは人物、動物、花鳥、唐草、龍など様々で、題材にも歴史物語や神話の名場面が彫刻されている物もあるので見逃せません。特に注目して欲しい部分は、正面や左右の「腰回り」と呼ばれる手すり下部に施された彫刻と、後部の小屋根の下「枡合(ますあい)」とその下「見送り」にある彫刻です。「やりまわし」中に地車の細部まで見るのは難しいので、ゆっくり曳航されている時や休憩時などを狙って岸和田の彫刻師や大工が受け継いできた匠の技を観察しましょう。岸和田天神宮付近や浜付近の疎開道は止まっている地車を見る穴場ポイントのひとつです。

2点目は「曳き手」です。やりまわし等の曳行を安全かつ正確に行うためには、それぞれの持場を担当する人達がタイミングを合わせることが非常に重要となってきます。先頭で100m程の2本の綱を前へ前へと曳く役は、青年団が担当します。曳行は2つに分かれ、「綱先(つなさき)」は曳き綱がたるまないように綱を張って進み、続く「綱中(つななか)」が全力で綱を曳きます。それに続く最も地車に近い「綱元(つなもと)」は、「やりまわし」の時に綱中の力を地車に伝える役目を持ちます。地車前方で車輪に棒をかませ旋回のきっかけを作るのが2人の「前梃子(まえてこ)」です。重い地車を制御する危険な役、そして息をピッタリ合わせる必要があるので熟練者、兄弟など阿吽の呼吸ができる二名が担当します。そして、高さ4mの地車の屋根でリズミカルに舞うのが、花形「大工方(だいくがた)」。団扇を持って華麗なパフォーマンスを見せてくれます。片足立ちの「飛行機乗り」など町や大工方によって変わるその動きは必見です。地車後方に続く「後梃子」は、大工方の合図で長さ約3.5メートルの舵取り梃子を使って地車の向きを変えます。地車の中に乗るのは「鳴り物(だんじり囃子)」です。その独特な音色は大太鼓、小太鼓、篠笛、鉦で演奏されます。拍子には「並足」「半きざみ」「きざみ」等があり、そのリズムの速さの変化によって曳き手は掛け声を合わせて地車を曳行させます。こうして500人前後の人達が各自の役割を果たし、心をひとつにする事で地車に「動」を与えています。

そして「だんじり」の魅力の一番の見せ所になるのが3点目の「曳き回し」です。「岸和田だんじり」に行ったら絶対に見逃せないのは、「だんじりパレード」「だんじり曳行(やりまわし)」「灯入れ曳行」の3つのタイプの曳き回しです。


岸和田だんじり祭の注意点

試験曳日と祭り本番の2日間は大阪臨海線と南海本線の間で大幅な交通規制があります。南海本線の蛸地蔵駅から岸和田駅、和泉大宮駅、春木駅にかけて広範囲の移動はもとより規制区域外、時間外でも車両通行できない場合があるので電車、バス等の交通機関での移動をお勧めします。徒歩の場合も、地車曳行時間中は移動が困難になる箇所が多数あるので、曳行コースを迂回するか曳行時間外に移動しましょう。祭り当日「岸和田駅」と「春木駅」の周辺は非常に混雑します。紀州街道を南下するだんじりを見るなら「蛸地蔵駅」、大阪臨海線の北上を見るなら「和泉大宮駅」、春木地区へは「和泉大宮駅」か「泉大津駅」で降りて移動するのがいいでしょう。

「だんじり」は荒々しい祭なので、過去に事故も多々起こっています。安全に見るためには特に次の点に注意しましょう。1. 祭禮関係者と警察の指示には絶対に従う。2. 脚立や踏み台に乗っての見物はしない。3. 傘などをさしての見物はしない。4. ベビーカーを使用しての見物はしない。5. 地車が通過する時は道路を広く開けて、曳行の邪魔にならないようにする。なお、ドローンの使用も禁止されているので注意してください。その他にも「ゴミは道路に捨てず持ち帰る」等、マナーやルールを守りつつ祭りを楽しみましょう。

とにかく素人が曲がり角で見学するのは危険なので、路上で見る場合は角から少し離れた直線部分にしましょう。いずれにしろ初めて行っていい観覧場所を抑えるのはなかなか難しいようです。知り合いに地元の人がいない場合は、特別観覧席を購入するのもいいかもしれません。岸和田地区の特別観覧席は通称「カンカン場」に設置される「カンカンスタンド」と「生協スタンド」の2つです。山側の生協スタンド席からは眼の前で「曲がってくる地車」のアングルで大迫力の「やりまわし」を見ることが出来ます。岸和田駅からも近く移動にも便利ですが、こちらの席の方が値段は高めです。浜側のカンカンスタンド席からは「曲がっていく地車」が見られます。こちらの席は「やりまわし」の順番待ちする地車や曳行ルートを含む全景を見渡したい人にお勧めです。

「やりまわしを見てみたいが、少し怖いし混雑も嫌」という人には、「試験曳き」での観覧をお勧めします。9月の第一日曜日(9月1日が日曜日の場合は8日)と宵宮前日に行われますが、特に宵々宮の日は「本番さながらの迫力はあるが観客は少なめ、観覧席の料金も安く露天も楽しめる」といい事ずくめです。岸和田市の山側の地区で10月に行われるだんじり祭りは関西以外の観光客が少なめなので、そちらに行くのもいいと思います。

岸和田城に近い本町にある「岸和田だんじり会館」では、だんじり関連の資料や彫り物、江戸から明治にかけて造られた地車の実物の展示、大画面での迫力ある祭りのハイライト映像等を楽しむことが出来ます。他にも、だんじり囃子の演奏や大屋根に乗っての大工方の体験、「3Dだんじりビジョン」でのやりまわし等、だんじり祭の魅力を存分に体感できるので時間があったら是非足を運んでみてください。


曳き回しの紹介

宵宮の朝6時、岸和田地区でも春木地区でも、各町の地車が一斉に出発する「曳き出し」で祭りの幕が開きます。その後のパレードでは、各町が町ぐるみで自慢の地車を曳いて駅前通商店街を練り歩きます。岸和田地区ではガチガチの硬派、面白い仮装や変装、小物など、その町の特徴やノリが垣間見えます。アーケードを抜けた各町の地車は、セレモニーの後駅前を曲がって駆け抜けていきます。一方の春木地区のパレードでは、ラパークの広い道から旧26号線の広い道へのやりまわしが見られます。春木地区では午前中、岸和田地区では午後にパレードが行われるので、春木駅前でパレードを見てから岸和田駅に移動すれば両方のパレードを見ることが出来ます。

「だんじり曳行」での醍醐味は、見物人にとっても参加者にとっても、やはり「やりまわし」でしょう。街のあちこちで見られる「やりまわし」ですが、中でも岸和田地区での見せ場は、紀州街道沿い年番本部前の「小門・貝源」、「堺町S字」と市役所前の「こなから坂」です。
特に気合が入るのが、本宮の岸城神社への宮入り直前の「こなから坂」。約15台の地車が次々と「こなから坂」を一気に駆け上がってゆく様子は祭りのハイライトと言えます。岸和田天満宮では宮入りする地車が岸城神社より少なく、観客も少なめなので「こなから坂」より間近での「やりまわし」が見られます。春木地区は「弥栄神社」に宮入りしますが、15町の地車が神社入口直前から加速し、鳥居を抜けていく姿は圧巻です。その他にも、人気だが混雑する「春木駅前」や穴場だけれど店は少ない「磯上町」などの観覧ポイントが多数あるので好みで選んでください。

激しいイメージが先行する地車ですが、宵宮と本宮の夜には雅やかな「灯入れ曳行(ひいれえいこう)」が行われます。子供達に曳かれ、赤い駒提灯に照らされた地車が街中を進む姿はとても幻想的です。昼間の躍動的な地車とは打って変わって、提灯に照らされて静かに曳行される地車は印象的です。この灯入れ曳行は、基本的に紀州街道と大阪臨海線の間を周回しているので見逃さないでください。


祭り有名番付

横綱クラス
その他呼び名日本三大喧嘩祭

※祭りびと制作委員会による独自評価。対象となる祭りがどのくらい知名度があるか全国調査により格付け。


祭り要素

伝統・祈願
踊り・神輿

祭り評価

歴史アイコン
歴史
★★★
ビジュアルアイコン
ビジュアル
★★★★
屋台アイコン
出店
★★★★
環境アイコン
環境
★★★★
アクセスアイコン
アクセス
★★

※祭りびと制作委員会による独自評価。各項目毎★5つが最高評価。☆は詳細が不明のため評価なし。

祭り日程 2018

2018年9月15日~9月16日
日程・概要9月15日 6:00~22:00
9月16日 9:00~22:00


祭りを見る&祭りに参加する

祭りを観覧する 祭りに参加する
観覧料金 無料(一部有料あり) 参加料金 無料(一部有料あり)
観覧予約 当日予約可 参加予約 当日予約可
観覧に関する詳細 例年7月1日前後にチケットぴあで販売開始。
(2017年は6月30日より販売)

来場者層

おひとり様
おひとり様
家族
家族
カップル
カップル
友達
友達
来場者数 約400000人

アクセス

住所 大阪府岸和田市岸和田地区・春木地区
交通アクセス 南海本線「岸和田駅」もしくは「春木駅」からすぐ
JR阪和線「東岸和田駅」から「岸和田駅前行」のバス約7分「岸和田駅前」すぐ(岸和田駅前通商店街まで)

駐車場

駐車場 無し

主催 岸和田地車祭礼年番/春木地車祭礼年番
公式URL https://www.city.kishiwada.osaka.jp/site/danjiri/

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