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保呂羽山の霜月神楽

「保呂羽山の霜月神楽」は、保呂羽山波宇志別神社でおこなわれる神事のひとつで、一夜限りに演じられる神楽舞は国の重要無形民俗文化財に指定されています。毎年11月7日の夜から8日の朝まで夜を徹して三十三番の神事が行われる湯立神楽です。巫女が緋色の舞衣に天冠のいでたちで舞う「天道舞」「保呂羽山舞」では、舞の途中で託宣を告げる場面があり、巫女の原型である女官(神子)の姿を今に伝えます。


保呂羽山の霜月神楽のトップ画像
出典:https://www.city.yokote.lg.jp/kanko/page300115.html

保呂羽山の霜月神楽の歴史

「米どころ」と言われる秋田県。古くから豊かな穀倉地帯が広がるこの地方には,実りへの祈願と感謝を神様に捧げる神事が多く伝わり残っています。
秋田県横手市大森地区に伝わる霜月神楽もその一つです。
霜月神楽は、平安時代にまとめられた「延喜式」のうち第九・十巻にあたる「延喜式神名帳」に、記載されている出羽国九座の一つ、保呂羽山にある「波宇志別(ハウシワケノ)神社」の神事。
1200年もの歴史を持ち、日本最古ともいわれる神楽のスタイルを今に伝える貴重な文化財として、昭和52年、重要無形民俗文化財に定められました。
神楽の系統は、神前に据えた湯釜の湯を振りかけて清めとする「湯立」神楽で、こちらは伊勢神宮の流れを汲む伊勢流神楽とも呼ばれています。
近隣の神主たちが集まり行う「寄合神楽」の型も継承しており、原型である伊勢神宮では明治維新を期に途絶えてしまったため、非常に珍しい神楽となりました。
霜月とは旧暦11月の古称です。秋も深まり動植物の勢いが衰えたように見える霜月に行う神事には、御魂の再生と更新を行い、やがて迎える新年に備えるという意味を持っています。
保呂羽山以外では、長野県の「天龍村の霜月神楽」、同じく長野県の「遠山の霜月神楽」、愛知県の「花祭(霜月神楽)」などが、有名です。


保呂羽山の霜月神楽の見どころ

毎年、11月7日の夜から11月8日の朝まで、夜を徹して行われる霜月神楽。波宇志別神社の搖拝殿である里宮神殿で行われます。小高い坂の上に立つ里宮神殿は、搖拝殿らしく小高い坂の上にあり、神楽の当日になると、提灯で照らされ幻想的な雰囲気をまといます。
暗さの増した11月の宵。湯釜が置かれしめ縄が張り巡らされた狭い神殿内では、真っ白な御幣と、神子の赤と金の衣装、繊細な天冠や檜扇、神官の袴の浅葱色といった鮮やかな色彩が、独特のコントラストを作っています。
夜7時から朝の6時ころまでの長い時間に渡り行われる保呂羽山の霜月神楽は、三十三の神事から成り立ち、古式ゆかしい雅な舞や勇壮な舞などさまざまな演目が行われます。
注目したいのは、夜の10時ころから始まる「保呂羽山舞」です。舞の途中で神子が御神託を告げるのですが、これは巫女である「女官」の原型であると考えられています。
鐘や太鼓、笛などでつくられる旋律とリズムの中に、神子の持つ神楽鈴の音が響きます。
さらにおすすめは、十八番の「神入舞」です。こちらは男性の神官が袖を振り足を大きく踏みながら踊る、ダイナミックな舞です。他にも剣を携えた緋袴の神子が二人で舞う「剣舞」や、山の神を模した人が舞う「山乃神舞」など、見ごたえのある演目が多くあります。
舞の途中では、笹などでできた湯帚で湯花を散らし、穢れを祓うしぐさが見られます。そして参拝の人々はこうべを垂れるような心持で、湯の清めを受けます。
こうして、1200年もの長い間、人々の信仰と生活を変わらず支えてきたと思うと感慨深いものです。
また、会場から4kmほど離れたところに、小さい規模ですが霜月神楽の資料館である「ほろわの里資料館」があります。波宇志別神社の改築の様子や霜月神楽の衣装や写真などが展示してありますので、興味のある方は覗いてみてはいかがでしょうか。


保呂羽山の霜月神楽の注意点

霜月神楽が行われる保呂羽山の波宇志別神社「里宮神殿」へは、車で大曲ICからは約40分、横手ICからは約50分ほどかかります。残念ながら公共交通がなく、霜月神楽を参拝するには、車かタクシーでの移動が必須になります。
大きな建物や目印がない山間の地域ですので、ナビゲーションシステムがあると心強いでしょう。
付近まで来ると「霜月神楽」の案内に従い細い山道を進みます。一見心細くなってしまうような道ですが、一本道ですし、しばらく進むと車が多く停まっていて太鼓の音が聞こえてくるので比較的会場は分かりやすいかと思います。
一つ注意すべきなのは、波宇志別神社「神楽殿」があることです。霜月神楽の会場となる「里宮神殿」から、4kmほど離れたところに、重要文化財に指定されている「神楽殿」がありますが、こちらでは霜月神楽は行われません。「神楽」と名前がついていることで間違える方も多いので、注意するようにしてください。
また、「神楽殿」のすぐ向かい側にある「ほろわの里資料館」は、霜月神楽についての展示がありますが、基本的に無人の資料館になっています。カギは開いていますので、来訪者が入館するときに各々電気をつけて見学する、という形になっています。
なお、豪雪地帯のため冬期間は閉鎖するそうですので、開館期間や時間など、詳しくは管轄である横手市教育委員会文化保護課に、お問い合わせをおすすめします。


祭り有名番付

小結クラス

※祭りびと制作委員会による独自評価。対象となる祭りがどのくらい知名度があるか全国調査により格付け。


祭り要素

伝統・祈願

祭り評価

歴史アイコン
歴史
★★★★★
ビジュアルアイコン
ビジュアル
★★★
屋台アイコン
出店
環境アイコン
環境
★★
アクセスアイコン
アクセス
★★★★

※祭りびと制作委員会による独自評価。各項目毎★5つが最高評価。☆は詳細が不明のため評価なし。

祭り日程 2018

2018年11月7日~8日
日程・概要11月7日19:00頃 ~ 11月8日6:00頃


祭りを見る&祭りに参加する

祭りを観覧する 祭りに参加する
観覧料金 無料 参加料金 無料(一部有料あり)
観覧予約 必要なし 参加予約 当日予約可
観覧に関する詳細 料金は無料だが、神事に付、参観者は初穂料を包むのが一般的。

来場者層

おひとり様
おひとり様
カップル
カップル
友達
友達

アクセス

住所 秋田県横手市大森町八沢木
交通アクセス JR奥羽本線「大曲駅」から車約30分
秋田自動車道「大曲IC」から車約40分、「横手IC」から車約50分

駐車場

駐車場 無料 40台

主催 横手市教育委員会文化財保護課
公式URL http://www.city.yokote.lg.jp/kanko/page300115.html

保呂羽山の霜月神楽のレビュー

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