祭りびと » 青森県 » 八戸三社大祭

八戸三社大祭

約300年の長い歴史と伝統を誇る八戸市最大のお祭りです。2016年にユネスコ無形文化遺産に登録されました。5日間にわたり、前夜祭・お通り・中日・お還り・後夜祭が繰り広げられます。一部有料観覧席があり、お祭りを存分に楽しむには有料観覧席がオススメです。


八戸三社大祭のトップ画像

八戸三社大祭の歴史

夏の夜空に響く独特な情緒のお囃子の音色に包まれて、華やかで大迫力の巨大な山車が勢揃い。この八戸三社大祭は、青森県八戸市で毎年7月31日から8月4日の5日間にわたって行われる神明宮、おがみ神社、新羅神社の祭礼行事です。祭り期間中には、三神社の神輿の行列に氏子の山車がお供して八戸市街地を巡行します。この3kmにも及ぶ豪華絢爛な大行列は、絵巻物語とも称されます。中でも一際目を引くのは仕掛けによって変形する巨大な山車です。八戸三社大祭の山車は、民話や歌舞伎などを題材に精巧に作られ、大きく広がる左右の仕掛けや人形がせり上がる演出などが特徴となっています。この「八戸三社大祭の山車行事」は、国の重要無形民俗文化財に指定されています。更に夜にライトアップされた山車が一斉に並ぶ神秘的な光景は、「日本夜景遺産」にも登録されています。


八戸三社大祭は、亨保6年(1721年)に八戸藩の人々が豊作の感謝を込めて「法霊大明神(現・おがみ神社)」から長者山三社堂(現・新羅神社)に神輿渡御をしたことに由来します。やがて八戸藩の有力商人たちが競うように屋台を奉納し、町民も虎舞等の行列で参加するようになり、町の安泰や豊作を祈願する大規模な祭礼行事として発展していきました。明治時代に入ると、新羅神社、神明宮が正式に行列に加わって三社大祭と呼ばれるようになりました。大正時代には、神社の附け祭として毎年新しい山車を作って運行するという現在の祭りの原型ができました。そして初めは人形1体を乗せて曳いていた程度の屋台が、民話や歌舞伎などの物語を表現する山車の形になり、どんどん華やかな見た目と複雑な作りになっていきました。昭和50年代頃からからくり操作が施されるようになり、各町内会がその出来栄えを競う形で山車の仕掛けは更に複雑に、そして巨大化して現在に至っています。

「山・鉾・屋台行事」として、ユネスコ無形文化遺産にも登録されるこの祭りには、絢爛豪華で躍動感のある山車を一目見ようと毎年多くの観光客が訪れ、真夏の八戸市は一年で最も熱く盛り上がります。


八戸三社大祭の見どころ

八戸三社大祭の最大の特徴は、精巧に製作された豪華絢爛な山車とその仕掛けにあるでしょう。ほとんどの山車はプロに頼まず、毎年自分たちの手で製作します。各町内や企業は山車審査での入賞を目指して、山車の題材や仕掛け、そして見栄えなどを毎年趣向を凝らして製作します。仕掛けにはコンプレッサーや空気圧シリンダ等が使われ、広い場所では左右に広がったり、人形が上下したり、後方部がせり上がったり扉のように開いたりするので、その動きは見逃せません。仕掛けが広がった状態で最大幅8m,奥行き11m、高さ10mになる巨大な山車もあり見応え抜群です。中にはスモークや水が出たりする山車も見られます。山車製作の題材は、武者物、民話、伝説、歌舞伎、能、縁起物など様々なものを扱っています。

山車のタイプは、大きな門や城が描かれた「城山車(建物)」、黒い岩場に松や紅葉が飾られ滝が描かれた「岩山車」、海を舞台に船等を波が取り巻いた「波山車」、高い欄干で囲み、一段高い後部の脇に軒花を飾った「高欄山車」と大きく4つの型があります。最近の山車はそれを基本にした複合形も多いので、元のタイプを想像しながら山車を観覧すると面白いでしょう。

祭りの始まりの前夜祭と後夜祭には八戸中心街地と八戸市庁前に、27台の山車が勢揃いします。この時、仕掛けが全開した華やかな山車がお披露目され、観客達は一気に盛り上がります。この時にはお囃子の音色を聞きながら、山車の精巧な装飾や人形の表情などを隅々まで見ることができます。大きくそびえる山車がライトアップされた景色は、とても幻想的です。

2日目の「お通り(神幸祭)」と4日目の「お還り(還幸祭)」の日には、3つの神社の行列と各神社の氏子町内からの附け祭(山車)が市内を巡行します。神社行列と山車は「お通り」の日は、おがみ神社で神事と出発式が行われた後に八戸市内を巡行して新羅神社へ向かい、「お還り」の時には反対に新羅神社を出発して市内中心街を巡行します。3kmにも及ぶ行列は、御神輿、太神楽(獅子舞)、稚児行列、巫女行列、子供裃着、甲冑武者、騎馬武者、旗行列、笠鉾、虎舞、法霊神楽、花屋台、駒踊り、商宮律、笹の葉踊などで構成されます。

神社行列では、江戸時代の藩士の姿がうかがえる「裃着」、昔ながらの町娘風の衣装に身を包んだ「手古舞(てこまい)」、各神社の衣装に着飾った稚児達の愛らしい「稚児行列」や勇ましい「武者行列」等、見どころいっぱいで、八戸の郷土芸能も堪能できます。「法霊神楽(ほうりょうかぐら)」は山伏の神楽の一つで無病息災を祈願するものです。獅子頭を持って踊る「権現舞」と、舞手達が一糸乱れず獅子の頭を打ち鳴らす勇壮な「一斉歯打ち」はとても人気があります。「虎舞」は火難除けや航海安全のために踊られるもので、頭を噛まれれば頭脳明晰、無病息災のご利益があると言われます。虎が一斉に地面に転がったり、肩車で立ってアクロバットしたりと、その滑稽な動きは見ていて飽きることがありません。「駒踊り」では、馬の模型を胴に固定した子供達が跳ねるように踊る元気いっぱいの姿が見られます。「笹の葉踊」では、笹の葉を手にして花笠を被った少女の踊り子たちが可愛らしい踊りを披露します。そして山車行列の最後尾を飾るのは「華屋台」です。八戸小唄に合わせて踊る華麗な日本舞踊に注目してください。

3日目中日の夕方からは、幻想的に美しくライトアップされた山車が八戸市中心街を練り歩きます。夜空に浮き上がって見える山車は必見です。そして夜には「お祭り広場ステージ」で山車の審査発表が開催されます。

この日、新羅神社では「加賀美流騎馬打毬(かがみりゅうきばだきゅう)」と「徒打毬」が奉納されます。これは東洋のポロとも呼ばれるスポーツで、紅白に分かれた狩装束姿の騎馬武者が馬に乗り、毬杖を使用して毬をゴールの毬門へと投げ入れる競技です。馬体をぶつけ合いながら毬を奪い合う様子は迫力満点です。この競技は国内では宮内庁と山形市の他にはここでしか見られない貴重な伝統競技なので是非見ておきましょう。

八戸三社大祭では一般客でも祭り当日に山車を引くことができる「引っ張り隊」というシステムがあります。当日に参加セット(ハッピ、花笠、豆絞り、公式ガイドブック)を受け取って希望の山車組に参加する事ができます。申込みは7月からで、参加料には傷害保険料金も含まれています。一日あたりの定員があるので、興味がある人は早めに申し込みましょう。

祭りの後半3日間には、八戸市庁前市民広場や「長者まつりんぐ広場」に「お祭り広場」が設けられます。お祭り広場には多くの露天が立ち並び、ゲストを含めたステージイベントも多数あるので是非お立ち寄りください。


八戸三社大祭の注意点

お祭り会場に車で行く場合のアクセスは、八戸自動車道八戸ICを降りて国道340号線を通って八戸市街地へ向かうとICから約15分で着けます。祭り期間中の市内の交通規制や臨時駐車場の設置場所などは、事前に公式サイトを確認してください。電車で行く場合は、JR八戸線「本八戸駅」を下車して徒歩5~10分です。祭り会場の最寄り駅は「八戸駅」ではなく、2つ目の「本八戸駅」なので注意しましょう。

神社行列や山車の行列の運行コースは年によって若干変更するので事前の確認が必要です。お通りの時の山車の観覧は、仕掛けが大きく広がる表通り(廿三日町、十三日町、三日町)の交差点などがいいでしょう。お還りの時は、八日町辺りがお勧めです。他にも観覧席、審査員席、信号がある場所で、山車の展開が見られます。

行列を全部見ると2時間程度かかります。ゆっくり落ち着いて行列を見学したい人、山車が大きく展開する仕掛けをいい場所で見たい人には有料観覧席の購入をお勧めします。有料観覧席は行列のある2日目から4日目までの3日間、山車が巡行する各コースに設けられます。全席指定で屋根などはついていないので、熱中症予防とあわせて日焼け対策も考えて行きましょう。有料観覧席は、八戸観光コンベンション協会にて毎年4月から予約販売されます。

三社大祭の後には「長者まつりんぐ広場」「八食センター」「ピアドゥ」等で山車の展示が行われます。場所によってはお囃子の実演もあります。八戸博物館やおがみ神社に行けば、貴重な江戸時代の山車人形「神功皇后と竹野内宿禰(たけのうちのすくね)」、「為朝(ためとも)と嶋人(しまびと)」、「武田信玄」、「太公望(たいこうぼう)」を見ることができます。そしてユートリー(八戸地域地場産業振興センター)」には「天長地久七福神」、「八戸ポータブルミュージアム」ではミニ山車「七福神と宝船」、八戸市役所本館1階にはミニ山車「西遊記」が常設展示されているので、間近で豪華絢爛な山車を見学することが出来ます。祭り期間中に八戸に行けなかった人は是非足を運んでみてください。祭り期間中の「八戸ポータブルミュージアム」では、山車の展示の他にも、お囃子の実演、小太鼓の体験、八戸三社大祭パネル展、山車の製作映像など、様々な展示物や催し物があります。ここで祭りの歴史や見どころ等の情報を得ておくと、よりお祭りを楽しめるかもしれません。その他「南部会館」では、八戸小唄・八幡馬などの踊り、三味線演奏、表千家茶道、八幡馬絵付け体験など色々な催しがあるので、時間に余裕がある人は是非足を運んでみてください。


祭り有名番付

大関クラス

※祭りびと制作委員会による独自評価。対象となる祭りがどのくらい知名度があるか全国調査により格付け。


祭り要素

伝統・祈願
踊り・神輿

祭り評価

歴史アイコン
歴史
★★★
ビジュアルアイコン
ビジュアル
★★★★
屋台アイコン
出店
★★★★★
環境アイコン
環境
★★★★
アクセスアイコン
アクセス
★★

※祭りびと制作委員会による独自評価。各項目毎★5つが最高評価。☆は詳細が不明のため評価なし。

祭り日程 2018

2018年7月31日~8月4日
日程・概要7月31日 
前夜祭 18:00~21:00
8月1日 
出発式 13:30
神輿と山車の合同運行(お通り) 15:00~  
8月2日 
加賀美流騎馬打毬 14:00~
夜間山車運行 18:00~ 
おまつり広場 11:00~21:00
8月3日
神輿と山車の合同運行(お還り) 15:00~
おまつり広場 11:00~21:00
8月4日 
後夜祭 18:00~20:00
おまつり広場 11:00~21:00


祭りを見る&祭りに参加する

祭りを観覧する 祭りに参加する
観覧料金 無料(一部有料あり) 参加料金 無料(一部有料あり)
観覧予約 当日予約可 参加予約 当日予約可
観覧に関する詳細 8月1日~3日のみ有料観覧席有 2200円
電話か八戸観光コンベンション協会窓口へ直接予約(FAX・メールでの受付は不可)

来場者層

家族
家族
来場者数 約1,490,000人

アクセス

住所 青森県八戸市市内中心街、長者山新羅神社
交通アクセス 電車:JR八戸線「本八戸駅」から徒歩10分
車:八戸道八戸ICから国道340号経由4km15分

駐車場

駐車場 有料 1000台

主催 公益社団法人八戸観光コンベンション協会/八戸市観光課
公式URL http://hachinohe-kanko.com/10stories/hachinohe-sannshataisai

八戸三社大祭のレビュー

まだレビューがありません