祭りびと » 秋田県 » 角館のお祭り(角館祭りのやま行事)

角館のお祭り(角館祭りのやま行事)

「角館祭りのやま行事」は、角館では「角館のお祭り」と呼ばれ、神明社と成就院薬師堂の祭典に合わせて行われます。各丁内から出される武者人形や歌舞伎人形で飾られた大型のヤマに囃子が乗り、江戸時代から残る城下町を曳き回し、その囃子に合わせて秋田おぼこたちが手踊りを披露します。ヤマ同士が鉢合わせすると通行優先権を交渉し、決裂するとヤマのぶつけあい「やまぶっつけ」が行われ、その間もヤマの上では「おやま囃子」が止むことなく奏でられ、沿道は熱気と興奮に包まれます。この祭りは神仏への信仰とともに地域の繁栄、豊作、無病息災を願う角館の人々により脈々と引き継がれ、国の重要無形民俗文化財に指定されています。


角館のお祭り(角館祭りのやま行事)のトップ画像

角館のお祭り(角館祭りのやま行事)の歴史

道で鉢合わせた曳山(やま)同士がぶつかり合い、荒々しい熱気に包まれる角館のお祭りは、「日本三大喧嘩祭り」のひとつとして知られています。これは秋田県仙北市の角館地域の鎮守である神明社と成就院薬師堂の祭礼で、毎年9月7日から9日に行われる祭りです。各丁内が曳山を出し、神明社、薬師堂、また領主であった佐竹北家への上覧のために町を練り歩きます。花形「先導」の粋な掛け声と笛に率いられた曳山から流れる「飾山囃子(おやまばやし)」は、篠笛、大太鼓、小太鼓、鼓、すり鉦、三味線で構成されます。「飾山囃子」には多くの流派がありますが、大きく「行進曲」「奉納の踊り」「風流踊り」に分けられます。「風流踊り」には秋田民謡を取り入れたものが多くあります。曳山前部の舞台上に乗る踊り子達は、神社や各家々でその可憐な手踊りを披露します。若者達に引かれた曳山同士が出会した時にはどちらが道を譲るかを交渉しますが、交渉が決裂したら曳山を力の限りぶつけ合って勝敗を決めます。これが「喧嘩祭り」と呼ばれる所以です。途切れることのない飾山囃子の中、祭りは深夜、時には明け方まで続きます。

この祭りの起こりは、元禄七年(1694年)に書かれた「佐竹北家日記」に記された「鹿島祭り」だと言われています。角館町はもともと佐竹北家の城下町として発展した町で、武家の居住する内町と町人の住む外町に分かれていました。地域の繁栄や商売繁盛、家族の無病息災などを祈願するために始まった祭りは、外町を中心に行われていました。その後、神仏分離令などの影響を受け、9月7日に神明社の宵祭、8日に神明社の本祭、佐竹北家上覧、薬師堂の宵祭、9日に薬師堂の本祭が行われるようになりました。
角館庶民が守り続けた伝統「角館祭りのやま行事」は、国指定重要無形民俗文化財で、2016年には「山・鉾・屋台行事」としてユネスコ無形文化遺産に登録されています。


角館のお祭り(角館祭りのやま行事)の見どころ

祭りの山車には置山と曳山がありますが、置山は神明社鳥居前と薬師堂前、立町の十字路などで見られます。毎年組み立てられる曳山は、かつての丁内区分を単位として運行されます。昔は担ぎ山であった曳山の構成は、前担木(まえたぎ)、横担木、後担木、欄干、人形、もっこ(黒木綿のしめやま)、車、引手用ロープ等で、総重量はおよそ3tにもなります。曳山前部の「水屋(みんじゃ)」と呼ばれる少し傾斜した部分には武者人形や歌舞伎人形が載せられますが、その豪華な人形達は歌舞伎の場面や、歴史上の人物から毎年選ばれて作られます。曳山後部には酒樽や「送り人形(または送りっこ)」と呼ばれる滑稽な人形が載せられている他、ハッピ姿の小さな子供達が座っています。

祭り期間中の流れは、7日夕方の曳山の「神明社参拝」に始まり、8日は朝の「佐竹北家上覧(おやま囃子コンクール)」の後「薬師堂参拝」、夕方には「観光用やまぶっつけ」、そして9日には、曳山の薬師堂参拝が行われた後、夜更けからクライマックスである「やまぶっつけ」の本番が繰り広げられます。参拝や上覧に向かう曳山は「上り山(のぼりやま)」、それらの目的を終えた曳山は「下り山(くだりやま)」と呼ばれ、上り山と下り山が出会った時は、下り山が道を譲るという作法があります。よって「やまぶっつけ」は、2つの神社への参拝が終わった3日目の夜に集中するわけです。

祭りの間は現在の丁内ではなく、かつての丁内の境界で区分されますが、その境界や丁独自の祭り作法などは、各丁内で伝承されています。各丁内には「張番」と呼ばれる祭りの管理部署が置かれます。張番は丁内で最高権力を持ちますが、各張番には更に「年番長」と呼ばれる張番運営の責任者がいます。曳山が他の丁内に入りたい場合などには、張番の許可が必要です。また曳山間での状況妥結が難しくなった場合などには、調停に赴くこともあります。
曳山と曳山が向かい合うと、まず交渉員と呼ばれる黄色い襷の若者によって「交渉」と呼ばれる話し合いが行われます。道の主導権が交渉で解決できれば、その後は再びそれぞれの目的に向かって行くのですが、双方が下り曳山だと互いが通行権を主張するので交渉が決裂する場合があります。そうなると実力行使の激突「やまぶっつけ」のスタートです。曳山が交差する際、誤って相手の曳山にぶつけてしまった時などは、交渉なしで「曳山ぶっつけ」に突入する事もあります。曳き手もお囃子も最高潮に達する「やまぶっつけ」は数時間に及び、若者達の体力の限界が来るまで続けられます。

祭り中日の8日には、観光客の観覧のための「観光用やまぶっつけ」が行われます。この「ぶっつけ」に勝ち負けはなく、時間や場所、曳山の組み合わせは予め設定されているため「八百長」と呼ばれることもあります。

曳山にとって囃子は極めて重要な役割を持つので、演奏していないと「死曳山(しにやま)」と呼ばれ、曳山としての機能を失うそうです。囃子の曲それぞれに意味があり、どの囃子を演奏しているかで、その曳山の運行状態がわかります。まず、「寄せ囃子(寄せ太鼓)」の音が鳴り響いたら曳山出発の合図、「上り山囃子」は曳山の目的に向かう時、「道中囃子(下り囃子)」は目的を終えた曳山の演奏、「下り藤」は目的を終えた曳山が方向転換をする間、「荷方囃子」は丁内を練り歩く時、そして「山激突」の時には「神楽囃子」が演奏されます。繰り返し聞いていれば自然と覚えてしまうので、お囃子の曲を聞きながら曳山から曳山へ移動することができるでしょう。

各曳山に数人のっている踊り手は3歳くらいから20代までで、「紋章」と「かすり」と呼ばれる服装をしています。手踊りは「秋田おばこ」「秋田甚句」など、ここでしか見られないので見逃せません!二人一組が息ぴったりの動きの手踊りは、とても優雅で艶やかですよ。


角館のお祭り(角館祭りのやま行事)の注意点

「やまぶっつけ」の最中は危険なので、特に小さいお子さん連れの場合は少し離れて見学しましょう。この伝統的な祭りには、「他の曳山に触れてはいけない」などの仕来りがあります。祭りの礼儀や作法は、祭典伝承委員会が発行した「角館の祭典」という小冊子にまとめられています。この冊子は、角館町観光協会内にある観光情報センター「角館駅前蔵」で購入できますが、店頭には並べていないのでカウンターで注文してください。こちらの観光協会では、「観光用やまぶっつけ」の日程や、各丁内の人形外題などの情報も得られます。
角館町は川沿いに縦長に伸びる小さな町なので、佐竹北家から間に薬師堂を挟んで神明社まで4km弱なので、歩いても10分程度です。車で行く場合は、市内にある「市営桜並木駐車場」「旧角高グラウンド」「仙北市健康管理センター横」などに駐車できます。祭り期間の町中の交通規制は、7日は夕方から深夜まで、8日と9日は朝10時から深夜までです。国道341号線、国道105号線は運行できますが、多少混雑する可能性もあります。
混雑する祭り期間中はゆっくり曳山の見学ができないと思うので、祭り前後に時間のある方は「角館歴史村・青柳家」へ行けば、蔵横に展示された飾り付けられた曳山「駅通り若者」の見学が出来ます。また、外町交流広場にも「広目屋」の曳山が展示されています。


祭り有名番付

関脇クラス
その他呼び名飾山囃子

※祭りびと制作委員会による独自評価。対象となる祭りがどのくらい知名度があるか全国調査により格付け。


祭り要素

伝統・祈願
踊り・神輿

祭り評価

歴史アイコン
歴史
★★★
ビジュアルアイコン
ビジュアル
★★★★
屋台アイコン
出店
★★★
環境アイコン
環境
★★★
アクセスアイコン
アクセス
★★

※祭りびと制作委員会による独自評価。各項目毎★5つが最高評価。☆は詳細が不明のため評価なし。

祭り日程 2018

2018年9月7日~9日
日程・概要9月7日
16:00~ 神明社参拝
山車曳き回し
9月8日
10:00~17:30 佐竹北家上覧
15:00~ 薬師堂参拝
山車曳き回し
観光やまぶっつけ 18:30~ 30分毎6か所
9月9日
10:00~ 薬師堂参拝
山車曳き回し
観光やまぶっつけ 18:30


祭りを見る&祭りに参加する

祭りを観覧する 祭りに参加する
観覧料金 無料 参加料金 無料(一部有料あり)
観覧予約 必要なし 参加予約 当日予約可

来場者層

おひとり様
おひとり様
家族
家族
カップル
カップル
友達
友達
来場者数 約132,000人

アクセス

住所 秋田県仙北市角館町
交通アクセス 公共交通/JR田沢湖線・秋田新幹線「角館駅」下車
車/東北自動車道「盛岡IC」から約1時間10分、または秋田自動車道「大曲IC」から約40分

駐車場

駐車場 有り


主催 角館祭りのやま行事実行委員会
公式URL http://www.city.semboku.akita.jp/event/index.php

角館のお祭り(角館祭りのやま行事)のレビュー

まだレビューがありません